上顎前方牽引装置
- 【読み】
- じょうがくぜんぽうけんいんそうち
- 【英語】
- maxillary protractive appliance
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 骨格性下顎前突や口蓋裂にみられる上顎劣成長に対して,成長期にある患者の顎外に固定源を求めて上顎部に整形力を加えることにより上顎骨を前方に牽引する顎外固定装置である.ジャクソン(Jarkson)がオトガイ帽装置のチンキャップより枝を出し,これから上顎部をエラスティックで牽引する装置を考案したのが起源である.
【適応症】
1)上顎劣成長による反対咬合(とくに上顎の成長発育途上にある場合)
2)唇顎口蓋裂に伴う上顎の劣成長
本装置は固定源となる顎外装置と口腔内装置からなり,固定部がオトガイ部にあるホーンタイプと前頭部およびオトガイ部に固定源を求めたフェイシャルマスクタイプに大別される.
口腔内装置には舌側弧線装置,床装置やマルチブラケットなどが用いられ,口腔内のバンドまたはアーチワイヤーに鑞着した牽引用フックから咬合面に平行に固定部上のフックに輪ゴムをかけ,片側200~300g程度の力(全体で400~600g)で前方牽引を行う.装着時間はオトガイ帽装置や後頭部オトガイ部固定装置が夜間のみの使用であるのに対して,長時間の装着が必要であり,1日10時間以上が望ましい.また,使用の際は,牽引により上顎大臼歯を挺出させないように注意しなけれはならない.
→顎外固定