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上顎側切歯欠如

【読み】
じょうがくそくせっしけつじょ
【英語】
missing of upper lateral incisor
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 欠如歯として頻度的には高いものの1つで,矯正臨床においても遭遇することはまれでなく,片側あるいは両側の欠如,また片側が欠如して反対側側切歯は矮小という場合などがある.下顎前突や叢生などのほかの不正咬合に合併している症例もあるが,この欠如を主な原因として空隙歯列,前歯部歯列の狭小化による反対咬合,側切歯より後方歯の近心移動による不安定な咬合などの不正状態が成立している場合もある.治療上問題となるのはトゥースサイズレイシオ(とくにアンテリオールレイシオ)の不調和であり,これへの対処がなされないままに単に動的治療によって再配列しても,上下顎の良好な咬合接触関係は得られず,不安定な咬合のために後戻りにもつながりやすいことなどから,この調和に対する配慮を含めた治療方針の樹立が望まれる.症例の種類,歯牙素材,年齢,審美的要求により異なるが,通常行われる治療としては,(1)下顎前歯群の隣接面ストリッピング,(2)下顎切歯の抜歯(通常1歯あるいは2歯),(3)上顎中切歯,犬歯,第一小臼歯を前歯群として配列,(4)側切歯部の補綴処置を前提とする中切歯と犬歯の間の空隙を確保などがあり,臨機応変に選択される.