上顎劣成長
- 【読み】
- じょうがくれつせいちょう
- 【英語】
- maxillary undergrowth, undergrowth of maxilla
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 側面頭部X線規格写真において上顎骨長が小さい場合やSNA角,上顎突出度が小さく,マイナスの値を示す場合をいう.唇顎口蓋裂や骨格性反対咬合などに上顎劣成長を伴うことが多く,顔貌の特徴としてコンケイブタイプ(凹顔型)を呈する.鎖骨頭蓋異形成症などの遺伝性疾患,クレチン病などの内分泌障害にも,上顎劣成長が認められる.上顎の成長は縫合部での発育,上顎結節への添加性の発育,歯槽突起の発育によって形が大きくなるとともにその位置が変化する.成長方向は前下方への移動であるが,上顎複合体を含む多数の骨の複雑な動きによるものである.上顎の成長は下顎より早期に始まり,6歳時では成人の85~90%に達するため,これらの部位でこの時期に成長の遅延が生じると上顎劣成長となる.治療としては上顎の前方移動,または前方成長の促進をはかるために,乳歯列期,混合歯列期から上顎前方牽引装置,OMA(頤部後頭部ナ定装置),上顎前方拡大装置などを用いる.要は早期にOMAやチンキャップなどを用いてoverjetを(+)にすると,下顎の成長に伴い上顎が前方成長してゆくことが多い.