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上下顎前突

【読み】
じょうかがくぜんとつ
【英語】
bimaxillary protrusion
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 上下顎前突とは上下歯列弓の近遠心的関係の不正で,頭蓋に対して上下顎の位置がともに前方位をとるもの,または上下顎前歯がともに唇側傾斜しているものをいい,前者を骨格性上下顎前突,後者を歯槽性上下顎前突という.上下顎前突の原因は,遺伝的なものを除いて形態的なものと機能的なものとがある.形態的な原因としては上下顎がともに前方位をとる場合と,上下の歯冠幅径が大きく前歯が前傾して排列されているものがある.機能的な原因としては舌と口唇の機能的な均衡がくずれている場合,すなわち舌が大きいか,舌前突癖や異常嚥下癖などにより舌圧が大きい場合,あるいは口唇の機能圧が小さい場合がある.
【顔面所見】正貌では口腔周囲筋の緊張や口唇閉鎖不全を認め,側貌は口元が突出した凸型(コンベックスタイプ:convex type)を示す.
【口腔内所見】上下顎前歯の唇側傾斜を認めるが,第一大臼歯はアングルの分類I級を示し,側方歯群の咬合は良好な場合が多い.また上下顎前歯部には叢生が認められず,機能的原因によるものでは前歯部が空隙歯列となることもある.
【頭部X線規格側貌写真所見】一般的に骨格性のものは,SNA,SNB,上顎突出度,顔面角,上顎中切歯歯軸傾斜角,下顎中切歯歯軸傾斜角が大きくなり,上下顎中切歯歯軸傾斜角が小さくなる.また歯槽性のものは,上顎中切歯歯軸傾斜角,下顎中切歯歯軸傾斜角が大きくなり,上下顎中切歯歯軸傾斜角が小さくなる.
【治療方法】小臼歯の必要抜歯を行い,マルチブラケット装置を用いて上下顎前歯の舌側傾斜をはかる.また機能的原因によるものは,舌や口唇のトレーニングを行い,舌が大きい場合には舌縮小術を行う場合もある.
→不正咬合,上下歯列弓関係の不正