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ストナーの4D

【読み】
すとなーの4でぃー
【英語】
Stoner’s 4D
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 矯正治療において歯は矯正力を加えることで歯槽骨内で移動させることができる.ストナー(Stoner, 1966)によれば矯正力の特性には矯正力の大きさ(Degree of force),力の作用様式(Duration of force),力の分布(Distribution of force),力の作用方向(Direction of force)の4つの要素があるという.これら4つの要素は頭文字をとってストナーの4Dとよばれている.
1)力の大きさ(Degree of force):矯正力の大きさにより歯周組織の変化が異なってくる.一般に矯正力の大きさは便宜上,強い力(heavy force),弱い力(light force)と最適矯正力(optimal orthodontic force)に大別される.弱い力は歯槽骨に直接性吸収(direct resorption)を起こさせ,強い力は歯槽骨に穿下性吸収(undermining resorption,indirect resorption)を起こさせる.最適矯正力とは歯根膜の圧迫側の歯周組織が最も速やかに効果的な改造現象が引き起こされたときに生じた力をいう.
2)力の作用様式(Duration of force):矯正力の持続時間は次の3種類に分けることができる.
(1)持続的な力(continuous force):舌側弧線装置の補助弾線やコイルスプリングのような矯正力の減少していく程度が比較的穏やかな力をいう.
(2)断続的な力(interrupted force):結紮線やスクリューのような矯正力の減少がすぐに0となり,これを繰り返すことによって歯を動かす場合の力をいう.
(3)間歇的な力(intermittent force):アクチバトール,咬合斜面板,ヘッドギア,チンキャップのような一定時間だけ作用させる力をいう.
3)力の分布(Distribution of force):歯頸部と歯根尖に対する力の配分によって,歯は傾斜移動をしたり歯体移動をしたりする.
4)力の作用方向(Direction of force):歯の移動は力の作用方向によって近遠心方向,唇舌方向,挺出,圧下,回転の移動がある.
(1)近遠心方向への移動(mesial or distal movement):歯に近遠心的な力を加えることで,歯は近遠心的に移動する.
(2)唇(頬)舌方向への移動(labial or buccal or lingual movement):歯に唇(頬)舌的な力を加えることで,歯は頬(唇)舌的に傾斜する.
(3)挺出(elongation):歯に歯槽から抜け出る方向に力を加えることで,歯は挺出する.
(4)圧下(depression):歯に挺出方向とは逆の力を加えて圧下することで,歯は圧下する.
(5)回転(rotation):歯の長軸方向を中心として回転力を与えると,歯は回転移動する.