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スピーチエイド

【読み】
すぴーちえいど
【英語】
speech aid
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 口蓋裂手術後の鼻咽腔閉鎖不全に対し,補綴的に機能回復をはかる装置であり,外科的処置法の咽頭弁形成術に相当する.本装置は口蓋床を維持装置として,その先端に鼻咽腔閉鎖不全を補うためのバルブがついたものである.これにより,鼻呼吸や嚥下などの生理機能を損傷せず発語時のみ鼻咽腔閉鎖機能を完全にし,系統的言語治療を行うことによって言語回復が容易になる.適応年齢は3歳以後であれば可能であり,幼児期に装着されスピーチエイドの管理と正しい言語治療が行われれば,良好な言語成績が得られることが多い.本装置は大きく分けて2つのタイプに分類できる.1つは未手術患者に装着されるもので,裂部を閉塞すると同時に,鼻咽腔部を器械的に閉鎖するように設計されたもの.もう一方は既手術患者で手術後完全な鼻腔閉鎖ができなかった場合に装着されるもので,保持装置として義歯床部に金属線で鼻咽腔部の栓球を連続した構造のものである.本装置の利点は,次の通りである.
1)鼻咽喉部を損傷せず同部の固有機能をそのまま不足部のみを補うことができる.
2)低年齢層にも十分に応用可能であり,言語訓練が早期に可能である.
3)直視可視に不適合部を修正でき,最も適合したものを装着できる.
本装置は,口蓋裂手術以外にも口蓋裂の手術が不可能な例,粘膜下口蓋裂例,口蓋腫瘍などの軟口蓋の一部または全部が切除された症例にも適応される.
→唇顎口蓋裂などに伴う咬合異常の治療