整形力
- 【読み】
- せいけいりょく
- 【英語】
- orthopedic force
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- (同)顎矯正力
骨格性不正咬合に対し,顎の位置や形態を変化させることを目的としてその成長を抑制あるいは促進させるような力をいい,歯を歯槽突起内で移動させる矯正力(orthodontic force)とは区別される.骨に作用するものであるため,比較的強い力を必要とし,固定源は頭部や頸部,数個の歯に求めた装置により整形力を期待するものである.主に,上下顎の顎関係に不調和の認められる成長発育期の患者に適用される.装置としては,拡大ネジ,オトガイ帽装置,ヘッドギアなどがあげられる.以下に臨床で使用頻度の高い装置による組織変化を要約した.
1)正中口蓋縫合部における組織変化:正中口蓋縫合部の離開による上顎骨自体の側方拡大を目的として拡大ネジが使用される.この装置による拡大により縫合部間隙では線維の牽引による伸展あるいは離断,および離開部骨壁の全面にわたる内出血などの外傷性初期変化を起こすが,拡大終了後の保定の段階で経時的に組織には修復機転を生じる.すなわち離開壁面に骨芽細胞の出現により新生骨の添加を認める.この部の化骨は針状骨梁の形成とその増大,同時に進行する離開壁面全体にわたる骨の添加によって完了する.正中口蓋縫合部の拡大による影響は切歯縫合,横口蓋縫合,口蓋面,鼻空底,鼻中隔などにも及ぶといわれている.
2)下顎関節部における組織変化:下顎関節突起は軟骨内化骨に由来し,咀嚼などの機能による圧力が常に加わっており,線維性結合組織がこれを緩衝し下顎頭を保護している.この層の直下は前軟骨芽細胞で,下顎近心方向あるいは遠心方向への整形力が作用した場合,圧の高まった場所では前軟骨芽細胞の活性の低下に伴う軟骨芽細胞の生成の減少を,逆に減圧される場所では前軟骨芽細胞の活性化に伴う軟骨芽細胞の活性化を招きここに新生骨の添加が起こる.一般的な現象として下顎の遠心方向の整形力では下顎頭の遠心部の骨吸収と近心部での骨添加,下顎窩においては遠心部での骨吸収と近心部での骨添加が起こる.