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成長と発育

【読み】
せいちょうとはついく
【英語】
growth and development
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 成長と発育とは,ともに受精から老化という一連の生物学的変化を表現するための言葉として用いられる.成長は細胞の増殖,細胞間質の増大により形態が大きくなることであり,身体的発育すなわち身長,体重の増加を意味する.また,発育とは機能が分化,成熟すること,つまり,より複雑に分化していくことを表現しており,精神的,社会的,機能などの成熟への変化を示している.しかし実際には,形態の増大には機能の複雑化を伴うことが多く,成長と発育は同義語として扱い,成長とは個体発生的な生体の一生の中で生体が経過していく身体的な修正の連続であると定義している考えもある(Meredith).また,成長とは大きさの増大であり,発育は成熟へ向かっての進行過程であるという考えもある(Todd).しかし,各過程は互いに関係しており,形態遺伝的なパターンの影響下で“自己増殖,分化,組織化の三重の過程がそれぞれ自然の法則に従って,このすばらしい現象を起こすのである”.さらに第4の次元は時間である.成長増加量や発育の進行率は人間の出生前,出生後を通じて,かなり大きく変化する.そして,実際に釣り合いのとれた正常な人になっていくためには,単に身体全体の成長が緩慢になるだけではなく,異なった組織が異なった比率で異なった時間に成長していくことが必要となる.たとえば,脳頭蓋の成長は大変早期に完了するが,性腺の成長はそうではない.また成長は順序のある過程であるが,いわゆる“スパート”がみられる時期がある.近年,成長の過程に関しては多くの情報が入手でき,この情報をコンピュータへ送り込むことによって,成長発育現象をある程度予測することが可能とするものがある.そして,この情報が矯正歯科臨床で応用できるよう矯正歯科医は考えていかねばならない.