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接着機構

【読み】
せっちゃくきこう
【英語】
bonding mechanism
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 接着は機械的結合による機械的接着かまたは化学的結合による化学的接着によって引き起こされる.機械的接着は,表面効果とレオロジー効果によって起こる.表面効果とは表面の顕微鏡的多孔性,粗造性により生じる機械的保持力であり,嵌合効果または「投錨効果」といわれるものである.また,レオロジー効果とは接着剤の液相,固相での流れにより生じる機械的接着因子であり,たとえば重合収縮による適合「Shrink fit」などがこれに相当する.化学的接着は,一次化学結合と二次化学結合によって起こる.一次化学結合とは,一次原子価による結合でイオン結合,共有結合,金属性結合などによる結合である.また,二次化学結合とは,二次原子価による結合すなわちファン・デル・ワールス(van der Waals)の結合によって生じる結合である.大部分の接着剤は,二次化学結合すなわちファン・デル・ワールスの結合の分子間力をその基本としている.したがって,接着剤と接着される物質の間にこれらの力が生じるように企画しなければ化学的接着とか機械的接着なども得られなュなる.すなわち,本来それ自体では接着しないものを化学薬品を用いて酸化させたり,陽極処理したりあるいはほかの方法で接着しようとする物質の表面の性質を変化させることによって,新しい面に二次化学結合を生じさせようとするのである.
【良好な接着を得るための条件】
1)接着剤は接着する物質の表面を十分に「ぬらす」ものであること.
2)接着剤はある一定の時間,操作を経て,液体から固体に確実に変化すること.その際に収縮(重合収縮)は可及的に小さいこと.
3)また接着される物質はその表面が粗造であることなどが大切である.接着面の「ぬれ」をよくするということは,接着剤の分子が接着される物質とよく接触するということである.接着の場合には,接着剤が顕微鏡でみえる程度の穴,孔,溝などに流れ込んでいかなければならないし,化学的な接着を必要とする場合にはその分子はファン・デル・ワールスの力の及ぶ距離(3から4A)内になければならない.そのためには,接着すべき物質の表面を清掃研磨すること,接着剤と接着すべき物質との間の化学的適合性が合うこと,接着剤の粘性が十分低く流れが十分に良いこと,などが必要である.