セファロ(グラム)
- 【読み】
- せふぁろ(ぐらむ)
- 【英語】
- cephalogram
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- (同)頭部X線規格写真
頭部X線規格写真は一定の規格のもとに撮影された頭部のX線写真で,1931年ブロードベント(Broadbent),ホフラート(Hofrath)らによって紹介され,頭蓋顔面部の成長発育の研究に用いられた.1948年ダウンズ(Downs)により臨床面での症例分析における応用が始まり,現在,矯正歯科の診断に必須となっており,顎顔面の成長発育の研究,顎顔面頭蓋の形成異常の把握,不正咬合の診断およびそれに伴う予後の把握,矯正治療の評価などの目的で用いられている.なお,セファログラムともいわれる.
1.一定の規格
1)頭部固定装置のイヤーロッドを外耳孔に挿入し,頭部を固定する.
2)中心X線の照射方向が側面の撮影の際にはイヤーロッドの軸と一致すること.
3)被写体と管球の焦点との距離(150cm),ならびに被写体とフィルム間の距離(15cm)が常に一定であること(側面の頭部X線規格写真では正中矢状面とフィルム間の距離が一定である).
頭部の固定位置によって側貌位(90°),前後位,斜位(45°,30°)の写真が撮影でき,それぞれ頭部X線規格側貌写真,頭部X線規格正貌写真,頭部X線規格斜方写真といわれている.また,撮影時の下顎の状態により中心咬合位,安静位,早期接触位,最大開口位での写真が得られる.
2.頭部X線規格写真の利点,欠点
【利点】
1)外側から観察できない頭蓋内部構造を写しだす.
2)X線量の調整により硬組織と軟組織を同一映像の中に写しだすことができる.
3)異なった個体を同一条件下で撮影できる.
4)同一個体を経時的に撮影できる.
5)治療の効果を判定できる.
【欠点】
1)正面像,側面像とも二次元的表現である.
2)映像は拡大,ゆがみおよびボケによって,必ずしも個体の形態を正しく表現しない.
3)必ずしも軟組織,硬組織の詳細な各部組織の像を分離しえない.
4)放射線の被曝を受ける.
3.頭部X線規格写真の直視的観察
頭部X線規格写真は計測を行う目的のために考案されたものであるが,通常のX線写真として観察することもでき,直接観察が可能である.
1)脳頭蓋の形態
2)顔面頭蓋の形態と大きさ,脊椎などとの各部の相互関係
3)顎骨と舌骨および脊椎との位置関係
4)トルコ鞍の形態:下垂体の発育異常はトルコ鞍の形態に影響を与える
5)顎顔面の軟組織の形態
6)口唇の形態
7)舌の形態
8)鼻咽頭の疾患:アデノイドの有無など
9)第三大臼歯の存在と埋伏歯の位置,方向の確認
4.頭部X線規格写真の応用法
1)頭部の成長発育の研究ならびに人種の形態的特徴の比較
2)不正咬合の形態的な診断:顎骨の形態,顎骨と歯との関係,また顎骨と軟組織との関係などを把握することができる.
3)矯正治療前後の顎骨ならびに歯の位置の変化の検討
4)治療計画の樹立