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先天梅毒と不正咬合

【読み】
せんてんばいどくとふせいこうごう
【英語】
malocclusion by congenital syphilis
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 先天梅毒によって生ずる不正咬合は,晩発性先天梅毒(syphilis congenita tarda)でみられるハッチンソン歯,フルニエ歯(ムーン歯ともいう)といわれる歯の形態異常に由来するものが一般的である.ハッチンソン歯は切縁部の半月状の切痕,樽型の歯冠形態などを特徴として前歯部にみられ,頻度的には上顎切歯(主に中切歯)に多く,ときに下顎切歯や犬歯に認めることもある.フルニエ歯はハッチンソン歯の歯冠形態の特徴が臼歯に現れたものをいい,桑実状あるいは蕾状を呈し,第一大臼歯にその多くを認めるものである.いずれも歯の形成不全に由来するものであるため歯冠幅径が正常範囲を超えて小さく矮小傾向を認め,そのために空隙歯列を呈するのが通常であり,ときとして転位を示す場合もある.治療は永久歯列の完成を待ち,主に空隙閉塞を主体とした処置をマルチブラケット装置によって行うが,形態異常の程度によって補綴処置を必要とすることもある.