第一大臼歯の咬合調整
- 【読み】
- だいいちだいきゅうしのこうごうちょうせい
- 【英語】
- adjustment in the occlusion of the first molar
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 混合歯列期において一般的に最初に萌出が開始するのは第一大臼歯であり,正常な永久歯咬合を得るためには上下第一大臼歯の咬合関係が重要視される.この第一大臼歯は第二乳臼歯の遠心に萌出するため乳歯の咬合関係によって左右される.乳歯咬合関係の多くはターミナルプレーンがバーティカルタイプ(vertical type)であるため,萌出後間もない上下顎第一大臼歯は1歯対1歯の咬合関係を営んでいることが多い.しかし第二乳臼歯脱落後,上下顎側方歯群のリーウェイスペース(leeway space)の差により下顎第一大臼歯が近心移動をすること,下顎の成長が上顎に優ること,乳歯列の咬耗により下顎歯列弓が前進することなどにより第一大臼歯関係は正常な1歯対2歯の咬合関係を営むようになる.しかし下顎第二乳臼歯の晩期残存などでは下顎第二乳臼歯の遠心面のトリミングを積極的に行うことが必要な場合もある.次に多いタイプは,メジアルステップタイプ(mesial step type)である.このタイプでは,上下顎第一大臼歯は場合によっては近心咬合になる場合もあるが,咬合位に達するや否やただちに正常な咬合関係となる.また,ディスタルステップタイプ(distal step type)では下顎遠心咬合になりやすい.したがって早期に上下顎第一大臼歯の咬合関係を正常にするために下顎第二乳臼歯の遠心面のトリミングを行うこともある.
【上下顎第一大臼歯が正常な咬合を営むための条件】
1)上下顎のリーウェイスペースの差を利用する.
2)下顎の成長が上顎より優ること.
3)乳歯列の咬耗により下顎歯列弓が前進すること.
4)側方歯群の交換が理想的に行われること.
5)下顎の霊長空隙を利用すること.