専門情報検索 お試し版

中心位

【読み】
ちゅうしんい
【英語】
centric relation
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 顎運動の機能的検査の項目の1つである下顎位,つまり上顎歯列弓に対する下顎の位置を表現するには中心位,中心咬合位,下顎安静位,最大開口位などが用いられる.これらのなかで中心位は顎関節における下顎頭によって決定される位置であり,下顎の基準の位置として比較的安定している.このことから中心位は,他の顎位における機能的な異常を検査する際の基準となる顎位となる.従来,中心位は下顎頭が関節窩内で緊張することがなく,最も後方の位置にあり,かつそこから自由に側方運動が可能である下顎位であると定義されてきた.その後,中心位の定義は下顎頭が関節窩内で最も上方の位置であるというものに変化した.さらに,1977年にAmerican Equilibration Societyでは中心位の定義を最も前上方の位置であると変更した.それゆえ,現在では下顎頭,関節円板,関節窩の関節面の三者が解剖学的に安定した位置,すなわち下顎頭が関節窩内において緊張することなく,最も前上方にある位置を中心位とし,これを基準位と考えるのが適切である.矯正治療中に発生することのある顎関節症の原因の1つにこの中心位の誤りがある.とくに上顎前突の治療では適正な位置に中心位を誘導し,良好な上下顎の咬合関係を確立する必要がある.
→中心位の誘導法