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低位舌

【読み】
ていいぜつ
【英語】
low tongue, low lingual
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
(同)舌低位
 低位舌とは安静状態において舌が下顎歯列内に低く充満した状態をいい,主に下顎前突症に随伴してみられる.下顎歯列自体には際だった不正がないことを特徴とするが,時として舌尖部が下顎前歯部を被覆していたり,下顎前歯間に空隙を求めることもあるため,巨舌症との鑑別が必要である.扁桃肥大,鼻疾患などにより習慣化した口呼吸に伴って生ずる(呼吸障害性症候群)ともいわれ,原因の本態としてはまだ不明なところが多い.また,唇顎口蓋裂においては上顎の劣成長による口腔容積の狭小に伴って舌の下降を生じ,類似の所見を呈することがある.
【処置】通常下顎前突の治療法に準ずるが,鼻腔の拡大により鼻呼吸を容易にし,上顎の発育を促進することを目的として拡大ネジなどを用いて上顎骨の拡大を行うことが多い.なお,明らかな原因が存在する場合はその除去を第一に考慮し,必要があれば他科との対診を十分に行う.矯正力に対して舌圧が強い抵抗を示すと治療がきわめて困難となるため,矯正装置の使用に対して慎重な対応が必要である.
→沈下舌,呼吸障害性症候群