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トゥースサイズレシオ

【読み】
とぅーすさいずれしお
【英語】
tooth-size ratio
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 正常咬合では,上顎と下顎の歯の歯冠近遠心幅径に高い相関があり,上下顎の歯の大きさが調和するといわれている.この上顎と下顎の歯の歯冠近遠心幅径の総和の比率をトゥースサイズレシオ(tooth-size ratio)という.このトゥースサイズレシオの分析は,ボルトン(Bolton),スティフター(Stifter),松本,螺良らによる上下顎6前歯の歯冠近遠心幅径の総和の比率すなわちアンテリオールレシオ(anterior ratio)と,上下顎中切歯から第一大臼歯までの12歯の歯冠近遠心幅径の総和の比率,すなわちオーバーオールレシオ(over-all ratio)を扱ったものが一般的である.その他にもステッドマン(Steadman)による上下顎前歯部のみの歯冠近遠心幅経だけを扱ったもの,ネフ(Neff)による上下顎前歯部の歯冠近遠心幅径の比率とオーバーバイトとの関係を扱ったものなど種々の分析法がある.
1)アンテリオールレシオ(anterior ratio)
(1)計測方法:石膏模型上で,上下顎左右側中切歯から犬歯までの歯冠近遠心幅径をキャリパスで計測する.
(2)計算方法
下顎6歯の歯冠近遠心幅径の総和(mm)/上顎6歯の歯冠近遠心幅径の総和(mm) ×100%
2)オーバーオールレシオ(over-all ratio)
(1)計測方法:石膏模型上で上下顎左右中切歯から,第一大臼歯までの歯冠近遠心幅径をキャリパスで計測する.
(2)計算方法
下顎12歯の歯冠近遠心幅径総和(mm)/上顎12歯の歯冠近遠心幅径総和(mm) ×100%
アンテリオールレシオ,オーバーオールレシオともに,グラフの横軸上に下顎の歯冠近遠心幅径の総和を,縦軸上に上顎の歯冠近遠心幅径の総和をプロットし,その交点で表す.グラフ上の3本の線のうちの中央の太線は平均値を示し,両端の細い線はそれぞれ+1SDと-1SDを示している.実際の計測値がアンテリオールレシオ,オーバーオールレシオの両端の細い線の内側,すなわち平均値±1SDの範囲内であれば,犬歯および大臼歯咬合関係がI級となり,良好な咬合状態を呈し得るということになる.トゥースサイズディスクレパンシーが主として前歯部にあるときにはアンテリオールレシオの分析値が標準偏差より逸脱する.また,トゥースサイズディスクレパンシーが主として臼歯部にある場合にはアンテリオールレシオの分析値が平均値±1SD内にあるが,オーバーオールレシオの分析値は標準偏差内より逸脱することになる.トゥースサイズレシオの合わない症例ではストリッピング(stripping)の必要な部位,ならびにその量を判定することができ,当該部位のストリッピングを行うことにより犬歯および大臼歯咬合関係のI級化を確立することができる.下顎切歯が3本しかない症例(スリーインサイザルケース:three incisor case)の治療方針を決定するには,本分析法がとくに有効である.このように,本分析法を用いると歯冠近遠心幅径の不調和,つまりトゥースサイズディスクレパンシー(tooth size discrepancy)がどこにあるかということ,さらにその量をも知ることができ,診断の一助として非常に有効である.