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トゥースポジショナー

【読み】
とぅーすぽじしょなー
【英語】
tooth positioner
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 ケスリング(Kesling, H.D., 1945)により考案されて以来,保定装置として使用されるようになったが,とくに抜歯症例用として価値がある.動的治療終了時に印象を採得し,模型上で個々の歯を切り離しワックスにより再配列を行い,この模型を用いてトゥースポジショナーを作製する.この装置は,通常弾性ゴムや高分子材により作られる.弾性軟性レジン製のポジショナーは,歯の小移動,空隙閉鎖,側方歯群の咬合関係のわずかなズレの修正などが可能である.このように三次元的な歯のコントーロールが可能であることからワーキングリテーナー(working retainer)またはアクティブリテーナー(active retainer)とも称されており,精密咬合仕上げ用としても使用することが可能である.さらに,日本人の歯牙素材の大きさ,歯列弓の大きさの亀田らの研究から作製された既製のトゥースポジショナーも市販されており,プリフィニッシャー(prefinisher)と称されている.動的治療終了後に歯面の研磨を十分に行った後,付属の計測器により上顎犬歯間幅径を計測し,犬歯間幅径の適合したプリフィニッシャーを選択して使用する.なお,犬歯間幅径の計測は上顎犬歯遠心隣接面部から尖頭および切端上を通過し,反対側犬歯遠心隣接面部までについて行う必要がある.トゥースポジショナーあるいはプリフィニッシャーを保定装置として装着,使用するには夜間のみ比較的passiveに用いるが,精密咬合仕上げ用として使用するには昼間4~6時間とくに咬み込む訓練が必要であり,また夜間も使用することが重要である.患者が確実に使用していることを確認する目安として来院時持参したプリフィニッシャーの白濁(昼・夜使用)半白濁(夜間使用)で判断できる.また最近ではホワイトニングジェルと組み合わせて咬み込むことにより,歯のホワイトニングと歯列の保定を同時に行う試みも広く行われている.
→保定