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乳歯の晩期残存

【読み】
にゅうしのばんきざんそん
【英語】
prolonged retention of primary tooth
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 永久歯の発育や萌出に伴って乳歯は歯根の生理的吸収現象を起こし,その交換期に自然脱落するのが通常であるが,これが何らかの原因によって本来の脱落期を経過しても口腔内に残留する場合を晩期残存という.晩期残存歯の歯根は,不規則な吸収をみるもの,吸収が軽微なもの,まったく吸収のないものなどさまざまな様相を呈する.
【原因】 (1)後継永久歯の先天欠如,埋伏,転位,(2)乳歯の歯髄あるいは歯周組織の炎症性病変,(3)乳歯の骨性癒着,(4)歯牙腫,濾胞性歯嚢胞,歯根嚢胞などの腫瘍性病変,(5)顎骨の発育過大による余剰な萌出空隙の存在,(6)くる病,先天性梅毒などの全身性病変などがあるが,日常臨床で遭遇する機会の多い (1), (2)によるものの場合,X線写真上で (1)にははとんど歯根吸収を認めないか,あっても軽度であるのに対し, (2)では不規則な吸収を認めるのが通常である.好発しやすい歯種は,上顎では乳犬歯,乳側切歯,第二乳臼歯などといわれるが,これは永久歯の先天欠如や齲蝕の発現頻度,萌出順序などの要素が複雑に絡み合って影響を与えるものと考えられる.
【治療】 特殊な場合を除いては抜歯が適用され,後続永久歯の咬合誘導,必要に応じて埋伏歯の牽引,転位歯に対する動的治療などが施されるのが一般的である.