バイオネーター
- 【読み】
- ばいおねーたー
- 【英語】
- Bionater
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 1952年バルター(Balters)により考案された機能的矯正装置で,アンドレーゼン(Andresen)とホイップル(Haupl)のアクチバトールより派生した装置である.本装置の特徴の1つは,アクチバトールに比較すると口蓋前方部分がないだけ小さな構造をしており,装置を装着したままの会話もでき,1日中の装着が可能である点である.バルターは,歯列の健康と正常な顎関係の維持は舌の機能空間としての口腔容積と,舌と口唇との平衡が必須条件であり,その平衡が乱れたときに歯列はゆがみ成長に悪影響を与えるとし,舌を口腔における反射活動の中心と位置づけ本装置を考案した.
1.治療目的
1)口唇閉鎖の確立と舌背の軟口蓋への接触
2)口腔容積の増大とその機能訓練
3)切歯の切端咬合の確立
4)下顎の前方位の達成と口腔容積の増大と舌位の改善
5)顎,舌,歯列ならびに周囲軟組織の改善.つまり顎顔面部の代謝を良好にすること
2.種類と基本的構造:症例に応じて標準型,III級型,開咬型の3種があり,どの装置も基本的には床部,ベスティブラルワイヤー(vestibular wire),パラタルワイヤー(palatal wire)からなる.
1)標準型装置
(1)構造
(1)床:下顎歯列弓と一部の上顎歯列弓の舌側面に適合する細長いレジン床よりなる.
(2)べスティブラルワイヤー:0.9mm線によりできた上顎切歯部唇側線とバクシネーターベンドよりなる.
(3)パラタルワイヤー:1.2mm線のワイヤーよりなり,遠心に向けて屈曲されている.
(2)構成咬合:基本的には切端咬合位とする.
(3)目的
(1)アングルII級1類症例:舌の後退位の是正とそれに伴う症状の改善.
(2)狭窄歯列を伴うアングルI級症例:舌訓練を行うことにより舌機能を刺激し舌の体積増加をはかる.
2)III級型装置
(1)構造
(1)床部:下顎床と上顎の小臼歯から大臼歯に及ぶ床部分が一体となっており,上顎切歯が下顎舌側を越え移動できるように咬合挙上(約2mm)がされている.
(2)べスティブラルワイヤー:0.9mm線よりなる下顎の唇側線と後方部のバクシネーターベンドよりなる.
(3)パラタルアーチ:標準型とは逆の構造をなしており,左右第一小臼歯の中央を結ぶ部位で前方を向いたような形態をとる.
(2)構成咬合:下顎を可及的に後方位をとらせた状態で採得する.
(3)目的
(1)アングルIII級症例:舌の前方位を是正する目的で用いる.
3)開咬型装置
(1)構造
(1)床部:上顎前歯の口蓋側のレジン床は臼歯部分と同じ高さまで延長され下顎床と連続した構造となる.
(2)ベスティブラルワイヤー:標準型と同構造である.
(3)パラタルワイヤー:標準型と同構造である.
(4)ベスティブラルスクリーン:ワイヤーフックあるいは,レジン延長部によりバクシネーターベンドの遠心向き屈曲部にとりつけられ,隣接する歯槽部への治療効果を期待する.
(5)リップシールド:口腔前庭部に装着され,治療に悪影響を及ぼす可能性のある下唇の力を排除する.
(2)構成咬合:大臼歯関係に応じてそれぞれ標準型,III級型の構成咬合をとる.
(3)目的:舌の悪習癖を防止するとともに,前歯部または側方歯部にある開咬の閉鎖に利用する.
3.使用方法および作用機序
(1)作用機序:上顎の口蓋部に接するパラタルワイヤーのループにより装着時舌根面を刺激し,大臼歯関係がII級の場合には,舌を前方に押し出すようになるため下顎の近心移動を促進する.一方,III級の場合はアングルII級症例の治療装置とパラタルワイヤーのループ方向が逆になることで,舌を刺激し後退させるから下顎自身も後退する.
(2)使用方法:原則として1日(24時間)の装着とする.
→機能的顎矯正法(機能的矯正法)