紐状弧線装置
- 【読み】
- ひもじょうこせんそうち
- 【英語】
- ribbon arch appliance
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- (同)リボンアーチ装置
歯列弓拡大弧線装置(expansion arch appliance;1899,1902),釘管装置(pin and tube appliance,1912)についでアングル(Angle, E.H.)により考案された装置であり,のちにアングル自身の手で新紐状装置(edgewise arch appliance;1928~1929)として改良がなされた.本装置は現在広く用いられているマルチブラケット装置の原型となった装置である.本装置の構造は,これ以前の装置とは異なり,あらかじめブラケットがバンドの唇頬側面に鑞着されているブラケットバンドが使用された.このブラケットには縦長のスロットが,ちょうど現在使用されているベッグ型ブラケットのスロット開放方向と逆方向の歯冠側方向に開いており,ワイヤーをロックピンによりブラケット内に維持する構造を成している.大臼歯部には頬面管の鑞着されたバンド,前歯,犬歯と小臼歯にはこのブラケットバンドを装着し,ここに縦0.036インチ,横0.022インチの角ワイヤーを挿入しロックピンで維持することによりワイヤーの弾性力が矯正力として働き歯の移動が起きるというメカニズムを有する.本装置の出現で,ワイヤーにアーチフォームを与えこれにより自在に歯列形態の修正を行うという概念が生まれ,さらに従来の装置では非常に困難であった捻転歯の改善や垂直的移動が容易にできるようになった.しかし本装置では近遠心的な歯軸のコントロールが難しく,とくに側方歯群の遠心傾斜移動が困難なものであった.