べッグ法
- 【読み】
- べっぐほう
- 【英語】
- Begg technique(Pure Begg technique)
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- べッグ(Begg, P.R.)により1954年にはじめて発表されたマルチブラケット法の術式で,その後幾多の改良がなされ,1961年にほぼ現在のベッグ法の基礎が完成した.本邦には1961年に榎,本橋により紹介され,マルチブラケット装置による治療の草分けとなった.本法の背景は,オーストラリアの原住民の咬耗咬合の研究にあり,現代人において顎骨と歯の大ききとの間にアンバランスがあれば,咬耗による近遠心的幅径の減少に類似した現象を人為的に起こさなければならないという考えから,抜歯による治療が行われた.ベッグ法の特徴は,縦長のスロットをもつベッグブラケットとラウンドワイヤーをピンにてロックすることにより,ライトフォース(矯正力として歯に働く最も弱い力)と差動矯正力を適用し,傾斜移動によって歯の移動を行うことにある.さらにべッグ法ではその術式のなかで,叢生の改善,咬合挙上,抜歯スペースの閉鎖,咬合関係の改善,軸関係の改善等々,幾種類ものことがいつも同時に行われている.また治療後の後戻りに対応する方法として,オーバーコレクション(行き過ぎ矯正)が行われたのもベッグ法からである.ベッグ法の術式は3つの段階に分かれ,それぞれステージI,ステージII,ステージIIIとよばれる.ベッグ法におけるアングルII級1類の術式は次にあげるようなものである.
ステージI:(1)上下顎歯の排列不正の改善,(2)前歯間空隙の閉鎖,(3)捻転の改善,(4)過蓋咬合の改善(咬合の挙上),(5)開咬の改善(正常な被蓋を得るまで改善する),(6)臼歯の近遠心関係の矯正(II級関係であればI級にする),(7)抜歯空隙の閉鎖,ただし空隙の半分くらいをつめる,(8)頬舌的あるいは唇舌的な交叉咬合の改善.
ステージII:抜歯スペースを完全に閉鎖する.
ステージIII:これまでのステージで傾斜したすべての歯の歯軸を整直するベッグ法はこのアングルII級1類の基本術式にあまり変化を与えることなく,すべての不正咬合に適応することができる.また原則的に,顎外固定を必要としないのも大きな特徴である.これらのものはPure Beggといわれ,その後1980年代後半に大幅に改良され,現在ではKBテクニックと呼ばれる方法が一般的である.
→KBテクニック