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扁桃肥大

【読み】
へんとうひだい
【英語】
hypertrophy of tonsil
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 一般に扁桃肥大といえば口蓋扁桃の肥大をさすことが多いが,矯正領域では口蓋扁桃の肥大よりも臨床症状が著しく,アングルII級1類,呼吸障害性症候群(respiratory obstruction syndrome)による下顎前突など顎顔面や歯列の発育に影響を与える可能性の強い咽頭扁桃の肥大(すなわちアデノイド)の臨床的意義が大きい.咽頭扁桃と口蓋扁桃は,生下時には小さく次第に生理的肥大を示すが,通常3~7歳にかけて大きく発育し,12~13歳より縮小傾向に転じて思春期以降にはほとんど消失する.
【症状】(1)鼻閉を伴う閉鼻声,(2)口呼吸,(3)いびき,(4)難聴,(5)高口蓋,(6)上顎狭窄歯列(V字型歯列弓),(7)上顎前突,(8)開咬,(9)下顎角の開大,(10)下顎面高の増大や口唇肥厚,(11)鼻唇溝の消失,(12)顔面筋の緊張の低下によるアデノイド,(13)漏斗胸,(14)鳩胸などがあり,また身長が平均値以上を示す一方で胸囲,体重が平均値以下を示すことも多い.
【診断】臨床症状と頭部X線規格側貌写真によってある程度確認可能なので,疑われる場合には耳鼻科に対診する.
【処置】通常の動的治療に加え筋機能療法が必要に応じて施される.ただし主因であるアデノイドの完治された後に行うのが原則であって,治療開始時期を誤ると後戻りを繰り返す恐れが多分にあるため耳鼻科との密接な連絡が重要である.