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ボンディング剤

【読み】
ぼんでぃんぐざい
【英語】
bonding material
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
(同)矯正用接着剤
 歯の表面にブラケットなどの各種アタッチメント類を接着するものをいう.歯に接着性をもつレジンは,ブオーノコア(Buonocore,1955年),ボーウェン(Bowen,1965年),ニューマン(Newman,1964年),シルバーマン(Silverman,1972年),三浦・中川(1968年)らをはじめとして多くの人々により研究開発され,臨床における矯正治療で矯正用接着剤として使用されている.これら現在使用されている矯正用接着剤はBis-GMA系とMMA系の2種類に大別される.
1)Bis-GMA系接着剤:1960年頃,ボーウェン(R.L. Bowen)は,ジメタクリレートモノマーとしてBis-GMAを合成し,これと石英粉末を練り合わせてコンポジットレジンを開発した.Bis-GMAは,粘性の高いジメタクリレートであり,トリエチレングリコールジメタクリレートのような粘性の低いモノマーで希釈して利用する.世界で最初の市販の矯正用接着剤はG.V. NewmanによるDirect Adhesive System(1965年)である.その後,ベースモノマー,フィラー,重合様式などさまざまな改良が加えられ,フッ素徐放性の光重合型レジンであるクラスパーF(クラレ)なども出現し,接着力もエナメル質に対して200kg/cm2ときわめて高くなっており,現在に至っている.商品としては,ジニー,ライトオン,クラスパーF,システムワンプラス,コンサイス,トラスボンドXTなどがある.光重合型レジンが現在最も利用されている.
2)MMA系接着剤:増原英一およびそのグループによって研究されてきたもので,モノマーとしてMMA(メチルメタクリレート)を主成分とし,水と酸素の力を借りてトリ-n-ブチルボランあるいは部分酸化トリ-n-ブチルボラン(TBB)で重合を開始させる接着性即時重合型歯科用レジンの総称である.最初の商品(l970年)は,オルソマイト(持田製薬)であった.オルソマイトの改良品として,4-METAをMMA-TBBレジンに溶解したものが(4-META/MMA-TBBレジン)オルソマイトスーパーボンド,スーパーボンドC&Bなどである.また、誘導時間(induction period)がより短かいトクヤママルチボンド(Tokuyama dental corp.)も市販されている.
→接着機構