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埋伏歯

【読み】
まいふくし
【英語】
impacted tooth
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 萌出時期が過ぎても歯冠の全部あるいは一部が萌出せずに,口腔粘膜下または顎骨内にとどまる歯をいう.1歯または数歯が埋伏しているものと,多数歯が埋伏しているものがあり,また歯冠の全部が埋伏している完全埋伏と歯冠の一部が露出している不完全埋伏とがある.乳歯よりも永久歯に発現頻度が高く,乳歯では乳臼歯,乳犬歯,乳切歯の順に,永久歯では下顎智歯,上顎智歯,前歯,小臼歯の順に多い.永久歯の前歯部の頻度として,バーデン(Baden)は,上顎犬歯,下顎犬歯,上顎中切歯,上顎側切歯,下顎切歯の順に,また藤岡らは上顎中切歯,繩{犬歯,下顎犬歯,上下顎側切歯の順に好発すると報告している.埋伏歯の原因としては原因不明の場合が多いが,一般的には次のようなものが考えられる.
【原因】全身的原因としては,くる病,ダウン症候群,クレチン病,鎖骨頭蓋異骨症,小児性粘液水腫,結核,先天性梅毒,内分泌機能異常,外胚葉異形成症などがある.局所的原因としては,乳歯の晩期残存,早期喪失,骨性癒着,歯槽骨の肥厚,口腔粘膜の肥厚,隣接歯の位置異常,形態異常,歯牙腫,慢性骨髄炎,濾胞性歯嚢胞などがある.
【処置】矯正臨床上,埋伏歯をもつ不正咬合であるからといって,特殊な見方をする必要はなく全体的総合的にその不正咬合の診断を行う.とくにアーチレングスディスクレパンシーの計測を十分に行い,次に埋伏歯をどのように処置していくかを決定することが重要である.歯根が形成されても埋伏または萌出遅延しているときは,矯正学的に牽引誘導も考えなければならない.重要なことは本来埋伏歯はhandicapped teethであることが多く埋伏歯の牽引誘導をするべきかどうかは十分に考慮する必要がある.