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埋伏歯の治療(牽引)

【読み】
まいふくしのちりょう(けんいん)
【英語】
treatment(traction)of impacted tooth
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 矯正治療上,一般的に埋伏歯が存在する不正咬合であっても特殊な診断をする必要はなく,全体的総合的にその不正咬合の診断を行い,アーチレングスディスクレパンシーの分析より埋伏歯の処置を決定する.その結果,その埋伏歯が治療上必要であれば牽引を考え,抜歯しても問題のない場合,または形成不全や骨との癒着(アンキローシス)などにより牽引が不可能な場合には,他の小臼歯などとともに必要抜歯の対象とする.埋伏歯の牽引は,一般的に歯根が完成した永久歯咬合期に行われる.マルチブラケット装置や舌側弧線装置により牽引歯の萌出スペースを確保し,その後開窓術を行う.開窓して露出した歯面にブラケットやリンガルボタンを接着し,矯正用エラスティックやアーチワイヤーにより牽引を開始する.牽引の際に,固定となるマルチブラケット装置のアーチワイヤーは,咬合平面の歪みを防止するために,太く硬いワイヤーが使用される.亀田ら(1982年)は,臨床的に牽引頻度の高い埋伏上顎中側切歯について,歯冠軸をパラタル平面を基準として計測し,それらの角度から唇側群(168.00°~250.00°),正常群(105.00°~134.00°)および口蓋側群(15.00°~30.50°)に分類し,それらから埋伏が予測される範囲(萌出が予測される範囲の30.50°~l68.00°以外)を求め,治療に役立てている.
→不正咬合の治療