無顎症
- 【読み】
- むがくしょう
- 【英語】
- agnathia,agnathie
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 無顎症は先天的に顎の全部または一部が欠損するまれな疾患である.下顎骨の欠如は第一鰓弓症候群(first branchial arch syndrome)とよばれる.部分的な下顎の欠如は半顎症(hemignathia,hemignathie)といわれ,下顎枝の欠如,関節突起の無形成,オトガイ部の無形成などが報告されている.これらは耳介の異常や大口症を伴うことが多く,下顎顔面骨形成不全症(mandibulofacial dysostosis)に包括されるトリチャー・コリンズ症候群,フランシスシェッチ症候群,両側性顔面形成不全(Treacher-Collins syndrome,Franceschetti-Zwahlen-Klein syndrome,bilateral facial agenesis),半小口症(hemifacial microstomia),眼耳脊椎形成異常(oculoauriculovertebral dysplasia)などの症候群の症状の1つとして現れる.
【症状】(1)顔面の非対称性,(2)咬合異常などがみられ,とくに骨の欠如している顔面部はくぼんでいる.
【治療】欠如している部分の骨移植などを行って形成外科的処理が行われる.また,一側の関節突起の欠如の場合,ほかの健康側の関節突起が無抑制的な成長をすることがまれにあり,健康側の関節突起の切除がよいという報告もある.