モノブロック
- 【読み】
- ものぶろっく
- 【英語】
- monobloc
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 1902年,ロビン(Robin, P.)は上下顎歯列弓を拡大する目的で使用するモノブロックを発表した.この装置は上下顎の位置を変化させることにより筋の活動を変化きせ機能的矯正力を得ようとするものである.ロビンは小顎症を伴う舌沈降症(いわゆるピエール・ロバン症候群)の治療に関してこの装置の有効性を説いた.“生命維持に必要な機能的集合体(vital functional confluent)”すなわち顎骨の拡大に伴う舌位置の改善を行うことで,空気や咬合は全身的な病的状態の一部であり周囲組織の改善が病態の改善につながると考えた.しかしこの考えは極論であり支持されなかった.この後,本装置はアングルII級1類の不正咬合は身体の姿勢と筋活動の乱れにあると考えたワトリー(Watry, F.)により“機能的再訓練(functional reducation)”のための物理療法的な訓練装置として応用し満足のえる結果を得たと報告された.この作用機序はアクチバトールの作用様式と近いものであるが,アクチバトールの作用機序が口腔内で可動性のある装置の働きによって無意識的に筋が活性化され機能的矯正力が生じるのに対して,本装置は患者の意識的な動作により筋が活性化され機能的矯正力が生じるという違いがある.基本的構造は上下顎にまたがる床部と唇側線よりなり,構造はアンドレーゼンのアクチバトールに類似しているが,この両装置は異なる目的でそれぞれ別々に独自に発達した装置であり機能的矯正力を得るために結果的に類似構造になったものである.
→機能的顎矯正装置(機能的矯正装置)