モンソンの球面説
- 【読み】
- もんそんのきゅうめんせつ
- 【英語】
- Monson spherical theory
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- モンソンが1920年に発表した歴史的に有名な下顎運動理論である.モンソンは歯の植立している正常な下顎骨を計測して,次の理由から前後側方の両彎曲をもつ咬合面と下顎頭は一球面上にあって,この球の直径は8インチであると報告した.つまりボンウィルの三角が必ずしも一辺4インチの正三角形とは限らないが,正常に発育した顎では三角形が認められる.また各歯の咬合面は各歯の歯軸と直行しており,各歯軸は篩骨鶏冠に存在する一点に集まっており,この中心点から咬合面までの距離もこの中心点から下顎頭までの距離も4インチであること.歯の前後彎曲の曲線を延長した弧線上に下顎頭があり,側方彎曲も前後彎曲と同一彎曲であることから前後側方の両彎曲をもつ咬合面と下顎頭は直径8インチの球体の表面にあると考えた.またモンソンはこの球面の中心を下顎が運動するときの中心点であるとも考え,篩骨鶏冠に存在する中心点を軸に前後左右に直径8インチの球面に沿って運動するという説をもちこの下顎運動様式を表現する咬合器を作った.しかしこのような下顎の運動様式では咬頭や被蓋のある歯の嵌合を無視することになるため運動様式としてのモンソンの球面説は現在では取り上げられない.
→モンソンカーブ,アンチモンソンカーブ