弄指癖
- 【読み】
- ろうしへき
- 【英語】
- finger sucking
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- (同)吸指癖,指しゃぶり,手指吸引癖
外観上の身体的表現にやや偏っており,その習癖の本態(すなわち指を吸引するという行為)を適確に表現し難いが,このことばからは指しゃぶりという俗語をすぐさま連想させ,小児の心理行動をも抽象的に表す優れた名称でもあることから,従来より慣行的に吸指癖にかわることばとして日常臨床で使用されている.また,矯正領域では吸指癖と同義語で用いられている.
【臨床所見】(1)下顎前歯の内傾を伴う歯列弓の平坦化と上顎前歯の前傾による開咬,(2)空隙歯列弓(とくに上顎前歯部),(3)上唇の弛緩,(4)下顎の後退,(5)高口蓋,(6)上顎歯列弓の狭窄などの特徴がみられ,これにより惹起されるのは,上顎前突,前歯部開咬,臼歯部交叉咬合,機能的交叉咬合に伴う顎の偏位などがある.
【治療】心理的アプローチによる動機づけを重視し,可及的早期に習癖を中止させることが大切である.習癖の中止が若年齢であれば自然治癒に向かう可能性が高いが,習癖の中止のみで治癒が困難と判断される場合は,矯正装置による改善を考慮しなければならない.幼児心理を無視して習癖の中止を強制したり,十分な動機づけを行わず安易に指サックなどの器具に頼ると逆に悪化することがある.また,前歯部の開咬によって異常嚥下癖,舌前突癖などを随伴していることも多いため,合併が認められる場合はこれらの習癖に対する処置も同時に行う必要がある.
→拇指吸引癖