矮小歯
- 【読み】
- わいしょうし
- 【英語】
- microdont,dwarfed tooth
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 正常範囲を超えて小さい歯をいい,矮小傾向が著しい場合には痕跡歯という表現が用いられることもある.正常な歯の萎縮形を示すものから栓状,円錐状あるいは蕾状を呈するものまでその形態には種々のものがあり,先天性梅毒において時にみられるハッチンソン歯,あるいは正中歯のように過剰歯として認められるものなど,その発現の仕方もさまざまである.
【原因】系統発生学的な退化現象,遺伝,下垂体機能低下,栄養障害,梅毒や局所の炎症,外傷などが考えられる.側切歯や第三大臼歯といった各歯種の後方歯にみられる矮小は退化現象の1つと推量するのに妥当性があるが,このような一定の規則性がなく口腔内に散発的に認められるものは局所の炎症,外傷などの既往によることも考えられる.また,頻度的にはまれだが,すべての歯に矮小傾向がある場合には下垂体機能低下,何らかの栄養障害あるいは遺伝などの関与を考慮してみることが必要である.
【治療】部分的に矮小歯を認める場合には,トゥースサイズレシオの不調和によって不安定な咬合関係となっていることが多く,該当歯の補綴処置,対合歯のストリッピングなどが行われる.また,全歯の矮小によって空隙歯列弓を呈している場合には,空隙の閉鎖を主体とした処置が検討されるが,いずれにせよマルチブラケット装置によって治療されるのが通常である.
→栓状歯,円錐歯