嫌気性菌
- 【読み】
- けんきせいきん
- 【英語】
- anaerobic bacteria
- 【辞典・辞典種類】
- 歯周病学事典
- 【詳細】
- 酸素の存在下では発育できない細菌の総称。菌種、菌株により酸素に対する抵抗性にはかなりの幅がある。酸素があってもなくても発育できる通性嫌気性菌と酸素のあるところではまったく発育することができない偏性嫌気性菌に分けられる。嫌気性菌が酸素の存在下で発育できない理由としては、カタラーゼ説、酸化還元電位説、スーパーオキサイド説などがあげられる。
嫌気性菌を培養するには、1)培地中の溶存酸素を追い出すこと、2)気相から酸素を除き大気との接触を絶つこと、3)培地中の酸化還元電位を低くたもつことなどが要点となる。実際には、1)嫌気ジャー法、2)ガス噴射法、3)アナエロチャンバーあるいはアナエログローボックス法、4)プレートインボトル法などが用いられている。嫌気性菌は、ヒトおよび動物の皮膚、粘膜、口腔、下部消化管、膣内に広く分布し、正常細菌叢を構成している。歯垢、結腸内容物、大便では好気性菌に比べて1,000倍も多く存在している。これらの嫌気性菌は宿主に、各種の生体防御機構と疾患発現作用の矛盾した2面的役割を有している。