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固定

【読み】
こてい
【英語】
splint、stabilization
【辞典・辞典種類】
歯周病学事典
【詳細】
固定とは歯周治療において、動揺している歯に対し、咬合の安定をはかるために2歯またはその以上の歯を連結することである。
固定の目的にはつぎのような事項がある。1)歯を互いに連結して歯の支持力の回復をはかる、2)病的な歯周組織の安静をはかり、組織の修復を容易にする、3)咬合力を多数歯に分散させ、咬合の安定をはかる、4)歯冠を連結して動揺歯を安定させ、食片圧入を防ぐ、5)歯の移動と挺出を防ぐ、6)咀嚼機能を改善する、7)不快感や疼痛を除去する、など。
固定の前処置としては、1)歯垢や歯石などの局所因子をできるだけ除去する、2)咬合調整を行う、3)口腔衛生指導を徹底する、4)治療に要する時間や経済的負担について患者の了解をとる、などがある。
固定装置が備えるべき基本的な条件としてつぎのような事項がある。1)固定力が強く、耐久性があって安定である、2)単純で、製作が容易である、3)歯髄や歯肉などの周囲組織の為害作用を及ぼさない、4)咀嚼や発音などの機能を障害しない、5)食物の流れを妨げず、口腔清掃がしやすく、衛生的である、6)異和感が少く、審美的である、7)経済的である、など。
固定を行う際に考慮すべき事項としてつぎのようなものがあげられる。1)咬合力をできるだけ多数歯に分散させる、2)固定部位の両端には骨植堅固な歯をもってくる、3)歯列弓にそって固定する、4)咬合力が歯軸方向に加わるようにする、5)頬舌的な側方力が加わらないよう頬舌径を小さくする、6)MTM後の歯の再移動や固定を予防する、7)欠損のある場合には支台歯の数、位置、距離などを考慮する。
固定には種々の方法があるが、それぞれについては別項を参照すること。固定において、いずれの方法を用いても、固定処置後に口腔清掃状態や歯周組織の状態と並んで、咬合関係の異常の有無についても定期的に監視する必要がある。
歯牙結紮法:顎骨骨折等の口腔外科的治療における固定法で、歯のみに維持を求める方法である。すなわち、骨植強固な歯を金属線などで結紮し、その後上下顎を本来の咬合状態となるよう結紮、顎間固定を行って、顎骨の固定、安静をはかるものである。本法は比較的容易なため応急処置として最適である。
本法は結紮歯の数によって、単純歯牙結紮法、2歯結紮法、連続歯牙結紮法などに分類される。
副木固定:歯のみでは維持がはかれないような場合、副木(副子)を用いることによって固定力の増強をはかるものである。口腔内副子として線副子、金属、レジン床副子など、口腔外副子として骨釘装置、チンキャップなど種々のものがある。