歯槽硬線
- 【読み】
- しそうこうせん
- 【英語】
- lamina dura(LD)
- 【辞典・辞典種類】
- 歯周病学事典
- 【詳細】
- 歯槽硬線とは、歯槽骨中で歯の植立する歯槽窩の窩壁辺縁部で骨梁が束状となるため(いわゆる固有歯槽骨相当部)主線の透過方向により、幅0.2~0.5mmの線状のX線不透過像としてあらわれるものをいい、別名白線、または歯槽硬板という。
歯槽硬線はそのあらわれる主たる原因が骨梁であるため、骨塩量の変化により、生理的に、また病的に変動をみせる。生理的な変動および幅の変化は、1)加齢とともに幅が減少する。2)臼歯部では前歯部に比べ幅が広い。3)歯槽頂縁部、根尖部では幅が広く、歯根中央部では狭い、等である。2)、3)については咀嚼時の咬合圧が関与している。これに対し病的な原因による変動には局所性疾患と全身性疾患によるものがある。局所性疾患では歯周の病変、つまり歯周組織の炎症がある。本症が起るとまず歯槽硬線は消失しその病変が消退すると再び出現する。この場合歯槽硬線の消失は部分的にあらわれる場合が多い。これに対し全身性疾患においても歯槽硬線が全面的に消失する場合がある。この場合もその病変が消退すると再び出現するが局所性疾患と異り、その回復は全面にわたる場合が多い。
歯槽硬線の消失する疾患にはつぎのようなものがある。
歯槽硬線の消失する疾患
1)全面的 副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、過コーチゾン症、ビタミンD欠乏症、骨軟化症など
2)局在的 根尖病変(歯根嚢胞、歯根肉芽腫、膿瘍)、辺縁性歯肉炎、顎嚢胞など
3)部分的 悪性腫瘍、組織球増殖症X、骨のページェット病(早期)、多発性骨髄腫、巨細胞腫、骨髄炎、パピヨン・ルフェーブル症候群など
3)については歯槽硬線の回復は期待され難い
以上、疾病時の歯槽硬線の変動は、疾病の状態の変動および、治療の成果を評価する際の指標となる。