歯肉弁根尖側移動術
- 【読み】
- しにくべんこんせんそくいどうじゅつ
- 【英語】
- apically repositioned flap operation
- 【辞典・辞典種類】
- 歯周病学事典
- 【詳細】
- 歯肉歯槽粘膜外科手術の一つで、ポケットの除去と口腔前庭の拡張などを目的とするものである。適応は歯肉歯槽粘膜境を越えて歯周ポケットが存在する症例で、しかもその付近での口腔前庭が狭い時、小帯の付着異常がある時、付着歯肉が少い時、骨欠損などの治療も同時に行う場合などにフラップ手術と同様に形成された歯肉弁を根尖側に移動させて行われるものである。しかし骨縁上ポケットのうちつぎのようなものには本法は禁忌とされている。
1)幅広い角化組織の層が、ポケット除去後もある場合
2)高度な炎症で浅いポケットが浮腫性歯肉組織に存在するとき
3)クレフトが歯肉歯槽粘膜境付近にある場合
4)角化組織がほとんどない場合
術式としてはまず手術野に局所麻酔を施し、歯肉辺縁から歯槽骨頂まで、内斜切開をして骨膜剥離子で歯肉弁を飜転する。
歯根周囲に存在する肉芽組織を鋭匙やスケーラーなどで取り除いて、歯肉弁(あるいは粘膜骨膜弁)を形成する。歯根面を平滑にした後、歯肉弁を期待する付着歯肉幅や口腔前庭幅に基づいて、元の位置よりも根尖側に移動して歯槽骨を覆い、歯肉弁が元にもどらないようにゆるく縫合をして歯周パックで手術部位を包帯する。抜糸は通常1週間後に行う。