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ブラキシズム

【読み】
ぶらきしずむ
【英語】
bruxism
【辞典・辞典種類】
歯周病学事典
【詳細】
睡眠中や覚醒時にかかわらず空口状態で無意識下にて口腔本来の機能と関係のない顎運動をすることで、咬合性外傷の一因とされる。ブラキシズムは、グラインディング、クレンチング、タッピングに分類される。
グラインディングはギリギリと音をたてながら歯をすり合わせることで、睡眠中ばかりでなく、ときには覚醒時にも起る。一般に本人自身はグラインディングをまったく自覚しないが雑音を発するので周囲の者から指摘され気づくものである。
したがってグラインディングの有無を診断するには本人のみならず、家族にも確認させる必要がある。原因としては、局所的、全身的および精神的因子があげられる。局所的因子としては早期接触、咬頭干渉、咬合高径の変化のほかに、歯や顎関節等の違和感や疼痛などがあり、全身的因子としては胃腸障害、栄養障害、感染症等があげられ、精神的因子としては緊張、怒り、悲しみ、欲求不満等があり、これらの因子が組み合わさったり相互に作用してブラキシズムが出現する。ブラキシズムの出現機構は、早期接触等による刺激が中枢に伝えられ、運動神経を介して咀嚼筋群に異常緊張が生じることによる。その際に精神的ストレスが加わると、筋群の異常緊張がさらに高まる。
ブラキシズムによる重要な症状としては、歯周組織の病的変化や顎関節障害があげられる。歯周組織の変化としては、ブラキシズムの際に加わる荷重も20kg/cm2以上になるため、歯の動揺や歯根膜腔の拡大、歯槽骨の吸収破壊が出現する。顎関節障害としては、ブラキシズム時には筋肉は等尺性に収縮するために筋肉の疲労を生じ、その結果機能障害や疼痛を惹起させる。その他の所見としては、歯根の破折や歯の失活および、咬耗による歯の知覚過敏や辺縁隆線の消失などがあげられる。
治療法としては、咬合調整による早期接触の除去、ナイトガードの使用、補綴的処置による正常な咬合高径の回復などがあり、さらに精神的因子を除去するためには、自己暗示や専門医に紹介することも必要である。