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保健医療における行動科学

【読み】
ほけんいりょうにおけるこうどうかがく
【英語】
behavioral science in health care
【書籍】
困った患者さんにどう活かす 診療室の行動科学 -親子へのアプローチ編-
【ページ】
2,3

キーワード解説

行動科学は、1950年代以降、米国を中心に急速に発展してきた学問領域であり、心理学、社会学、教育学、精神医学等を基盤とする学際的な分野である。保健医療における行動科学は、患者側の視点から医療を見直していくための科学であり、多くの保健行動モデルの提唱を端緒として、認知と学習、患者の不安、医療に対する満足と不満、患者-医療者関係と意思決定の共有、認知行動療法など、その対象範囲は広い。しかし、これらの研究成果を臨床に活かす場合に、陥ってはならない点は、ひとつの行動理論に無理やり患者を当てはめ、その技法を用いて、患者を安易に誘導しようとすることである。本来、患者-医療者関係や患者の心理・行動は個別的なものであり、保健医療における行動科学は、その個別性のなかに一般性(法則性)を見出し、その一般性を知ることで、さらに患者の個別性に対する理解を深めていくものである。