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くさび状欠損

【読み】
くさびじょうけっそん
【英語】
wedge shaped defect
【書籍】
QDT 2008年8月号
【ページ】
127

キーワード解説

くさび状欠損は、主に犬歯唇面や小臼歯頬側面の歯頸部が好発部位である摩耗症のひとつで、基本的にう蝕のない欠損である。楔状欠損が生じると、象牙質が露出することが多く、ブラッシング時に痛みを感じたり、進行すると知覚過敏の症状を伴うことがある。楔状欠損の原因は、(1)硬い歯ブラシで研磨剤入りの歯磨剤を使用することによる、歯頸部付近の非常に薄いエナメル質の摩耗、(2)ブラッシング時に大きな力で横磨きなどを行うことによる歯頸部付近のエナメル質、象牙質およびセメント質の摩耗、などとされている。
さらに、咬合力も歯頸部欠損の原因の一つとされている。とくにブラキシズムなど、咬合力によって歯頸部に引張り応力が集中し、歯質が破壊され、歯頸部の歯質欠損が発生するとも考えられており、これはアブフラクションと呼ばれている。また、歯周病による歯肉退縮がセメント質を露出させることも楔状欠損の発生に関与しているといわれている。