専門情報検索 お試し版

トランス脂肪酸

【読み】
とらんすしぼうさん
【英語】
trans fatty acids
【書籍】
「食育」は歯科医療を変える
【ページ】
58

キーワード解説

油脂の構成成分である脂肪酸のなかでも、主に植物性油脂を構成する不飽和脂肪酸の一種で、通常は液体である植物油脂に人工的に水素を添加し、硬化油の状態に加工する段階で生成されるものがトランス脂肪酸。温度に関わらず固形を保つため、輸送や貯蔵に便利であり、酸化安定性も高く扱いやすいため急速に利用が広がっている。バターやラードの代わりに手軽に使える植物性油脂としてパンや菓子類、揚げ物類など、数え切れないほど多くの加工食品に使われている。構造がプラスチックに類似しているので、「プラスチック化された油脂」の異名をもつ。悪玉コレステロール(LDL)を増加させ、善玉コレステロール(HDL)を減少させる働きがあり、多量に摂取を続けると、動脈硬化などによる虚血性心疾患のリスクが高まるといわれている。また、血小板の血液凝固機能を亢進させ、心臓・脳やあらゆる血管内壁への血栓の生成を促進する働きなども指摘されている。