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乳歯反対咬合の治療

【読み】
にゅうしはんたいこうごうのちりょう
【英語】
treatment of deciduous crossbite
【書籍】
子どもの不正咬合―一般歯科医に伝えたい考え方と早期発見のポイント39―
【ページ】
30

キーワード解説

 乳歯反対咬合を治療するかどうかには賛否両論ある。異なる2つの状況があるので別々に捉えたい。ひとつは上顎骨の劣成長が著しく三日月形の顔貌が著明な症例で、上顎骨の反応の良い幼児期から開始すべきと判断される場合である。この場合は、上顎骨の急速拡大および前方牽引を積極的に行いたい。もうひとつは既製の簡単な装置を適応する場合で、下記の理由により適応症であるかどうか、子どもの負担も考えてよく検討したい。
1.乳歯列期は咬合が不安定であるため、あるいは上顎前歯はやや唇側に、下顎前歯はやや舌側に萌出するために、自然治癒する場合もある。2.簡単な指導と咬頭の削合だけで治る場合もあるので、本当に装置が必要かどうか不詳なことが多い。3.簡単な既製の装置では治らない場合もある。いったん治っても、永久歯萌出時、あるいは下顎の成長の旺盛な思春期成長期に、再発する可能性もある。