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骨折の治癒

【読み】
こっせつのちゆ
【英語】
repair of bone fracture
【書籍】
別冊ザ・クインテッセンス 一般臨床家、口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル'09
【ページ】
61

キーワード解説

 骨折が起こると,初期の外傷性反応として出血による血腫が形成される.このとき血小板に由来するTGF-βやPDGF(platelet-derived growth factor)は,引き続いて起こる肉芽組織の増殖に関与すると考えられる.骨折部に形成される肉芽組織中には,後に骨・軟骨を形成する能力を有する再生芽ともいえる細胞が出現するが,それらの細胞の性状や由来は十分に明らかにされていない.
 長管骨の骨再生過程では,骨折後さらに時間が経過すると,肉芽組織の部位には骨芽細胞,軟骨細胞が出現し,仮骨の形成がはじまる.また骨折部周辺でも骨膜細胞の増殖が起こり,骨の添加がみられ,仮骨形成もはじまる.時間の経過とともにそれぞれの仮骨部は,軟骨または骨に特徴的な細胞外基質を産生し,成熟する.その後,軟骨は骨組織に置換され,軟骨内骨化が進行し,骨折の治癒が完了する.