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嚥下障害

【読み】
えんげしょうがい
【英語】
dysphagia
【書籍】
歯科衛生士 2009年12月号
【ページ】
68

キーワード解説

嚥下障害とは、疾病や老化など種々の原因により飲食物の咀嚼から嚥下までの一連の動作が困難になる障害のことである。健常な人間は、咀嚼した食物を舌運動によって咽頭へ移送し嚥下するが、軟口蓋や口腔、鼻腔、喉頭蓋などの複合的な運動のみならず、環境、認知、呼吸、食物物性との調整を必要とするため、これらに関わる機能に何らかの障害が生じると嚥下障害が喚起される。
原因には、
1)器質的原因(飲食物が通る器官ならびに呼吸機能の構造に問題があり、食塊の通過を妨げている)
2)機能的原因(神経筋機能の障害により飲食物が通る器官の動きに問題があり、食塊を移送することが困難である)
3)医原性原因(治療のための医学的介入<カニューレや栄養チューブ>、まったく介入がなされなかったことによる廃用性変化等)
があるほか、心理的原因がかかわる場合もある。
嚥下障害は窒息の他に誤嚥性肺炎を引き起こすが、口腔衛生状態が低下するとそのリスクは高くなるため、誤嚥性肺炎の防止には歯科医療者による専門的口腔ケアや歯科医療者による介護者への口腔ケアの指導が重要となる。