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前がん病変

【読み】
ぜんがんびょうへん
【英語】
precancerous lesion
【書籍】
別冊 一般臨床家、口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル'10
【ページ】
48

キーワード解説

わが国の高齢化に伴いがん罹患患者数は増加傾向にあるが、口腔がんでも同様に罹患患者数は増加しつつある。口腔粘膜上皮に発生する悪性腫瘍の大半は扁平上皮癌であり、扁平上皮癌のなかには、悪性ではない粘膜変化から発生するものがある。前がん病変(precancerous lesion)とは、形態学的にみて正常なものに比べて、がんが発生しやすい状態に変化した組織と定義される1。
一般に、白板症(leukoplakia、図1)と紅板症(erythroplakia、図2)がこれに相当するが、両病変とも臨床的分類であり、病理組織学的には扁平上皮異型性が前がん病変とされる。このがん化する前の段階で適切な治療を行うことは、がんの予防的見地からも意義がある。