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咀嚼による脳への効用

【読み】
そしゃくによるのうへのこうよう
【英語】
utility toward brain by mastication
【書籍】
歯科衛生士 2013年6月号
【ページ】
90,91

キーワード解説

咀嚼によって脳に与えられる効用は、主に2つ挙げられる。まず1つ目に、咀嚼をすると三叉神経を介して大脳新皮質を刺激することで、覚醒状態を保つことができる。大脳新皮質の覚醒状態を保つ脳幹網様体賦活系には三叉神経を含めいくつかの神経がつながっているが、大脳新皮質の覚醒の度合いにもっとも影響を与えるのは三叉神経である。したがって、三叉神経とのかかわりが強い咀嚼は非常に重要である。
2つ目に、咀嚼によってヒトは「おいしい」と感じることができる。犬などヒト以外の動物が食べ物を摂る際、大脳辺縁系のコントロールによってエネルギーを得ようとする欲求が生まれる。一方、ヒトでは大脳辺縁系よりも大脳新皮質のコントロールが上回る結果、エネルギーを得ようとする欲求より、食べることを楽しもうとする欲求が強く現れる。