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咀嚼筋腱・腱膜過形成症

【読み】
そしゃくきんけん・けんまくかけいせいしょう
【英語】
masticatory muscle tendon-aponeurosis hyperplasia
【書籍】
一般臨床家、口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル'13
【ページ】
130

キーワード解説

咀嚼筋(咬筋、側頭筋等)の腱および腱膜が過形成することにより筋の伸展を制限し、開口障害をきたす疾患で、2008年日本顎関節学会シンポジウムにて疾患名が承認された。本疾患は緩徐に開口制限が進行するため、歯科治療時などに指摘されて初めて自覚することが多い。顔貌所見は、ゴニアルアングルが有意に鋭角なsquare mandibleを特徴とする。全症例が両側性に発症し、小学生時にも確認されることから先天性の要因が考えられるが、必ずしも家族性に発症しないことから単一遺伝子疾患ではなく、多因子遺伝子疾患の可能性がある。診断は、緩徐に進行した硬性開口制限と、最大開口時に咬筋前縁の硬い突っ張りの触知、の2点が現在のところ決め手となる。治療は開口訓練等の保存療法が無効で、咬筋腱膜切除と筋突起切除術が効果的である。術後の成績は開口訓練によって左右され、きちんと訓練を施行すれば長期的にも良好な開口域を維持できる。