成人矯正と歯根吸収
- 【読み】
- せいじんきょうせいとしこんきゅうしゅう
- 【英語】
- adult orthodontics and root resorption
- 【書籍】
- 成人矯正歯科治療
- 【ページ】
- 208
キーワード解説
矯正学的な歯の移動に適した矯正力は、相対的に弱い持続的な力であることが認められている。弱い力は直接性吸収をもたらし、歯槽窩の吸収、修復・再生の過程を繰り返しながら、歯の移動が行われる。歯の移動に伴う穿下性吸収は避けられないが、できるだけ避けたい。そのためには弱い力の適用が必須であり、歯根膜の修復・再生のために時間をとる必要がある。歯の圧下は歯根吸収のリスク要因であるが、挺出では影響を受けない。遺伝的あるいは治療に関係する要因に関わらず、根尖の歯根吸収が起こる部位は上顎切歯が最も多く、次いで下顎切歯と第一大臼歯であった(Weltman B)。とくに中高年の患者は包括的な治療を伴うことが多く、歯根吸収のリスクが高くなる。したがって圧下、トルク、顎間ゴムの適用には細心の配慮をする。危険の徴候を察したならば、動的処置の一時的な中止(3か月)を含み、必要な対応をとる必要がある。