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後戻りと保定

【読み】
あともどりとほてい
【英語】
relapse and retention
【書籍】
成人矯正歯科治療
【ページ】
212

キーワード解説

後戻りは、組織学的には古くからReitan(1959) のイヌの臼歯の回転の後戻りの研究がよく知られている。保定装置を232日装着した後でも回転歯の後戻りが生じたように、歯槽頂線維や歯間水平線維の伸長が後戻りに大きく影響している。歯は生理学的に近心咬合面方向に向って常に移動(migration)している。歯は動的治療後、自然に元の位置に向って移動する(return back to its original position)。この元の位置に戻ること(後戻り)を防ぐための処置として、機械的な保定装置が必要になる。一方、自然的な保定として、口腔環境を生理的な状態にし、とくに舌をはじめとして咀嚼に関わる筋が、動的治療後の新しい環境に適応することを意図することもある。しかしほとんどのケースでは、保定装置を装着すると正しい舌の行動を伴った生理学的な機能的適応をしてくる。