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置換性吸収

【読み】
ちかんせいきゅうしゅう
【英語】
replacement resorption
【書籍】
シリーズ MIに基づく歯科臨床vol.04 自家歯牙移植 増補新版
【ページ】
29

キーワード解説

生きた歯根膜が広範囲に損失した歯を骨組織の中へ移植・再植した場合、置換性吸収が生じる。置換性吸収はその名のとおり、歯根が吸収されて骨に置き換わる現象を指す。別名アンキローシスとよばれ、骨組織と歯根が癒着した状態にある。
 歯根膜という保護膜を喪失した歯根が骨組織(破骨細胞)と接すると、骨組織はセメント質や象牙質といった硬組織をもリモデリングに巻き込み、置換性吸収が生じる。すなわち歯根表面で破骨細胞による歯根吸収と骨芽細胞による骨添加が同時に進行する。
 置換性吸収の特徴は、歯根吸収の速度が年齢により大きく左右されることである。置換性吸収の速度は生体のリモデリングの速度に比例し、子どもでは速く、成人では遅い(骨のリモデリングは子どもでは年50%、成人では年2%といわれる)。したがって、移植・再植後にアンキローシスが生じても、成人ではその歯が何年も(場合によっては数十年)機能を営むことが可能である。