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垂直性歯根破折

【読み】
すいちょくせいしこんはせつ
【英語】
vertical root fracture(VRF)
【書籍】
Endodontic Breakthrough 逆根管治療の真髄
【ページ】
51

キーワード解説

垂直性歯根破折(Vertical Root Fracture:以下、VRF)は、抜歯に至る主たる原因といわれている。歯周病やう蝕は予防できても、咬合力が要因と考えられるVRFは防ぎようがない。またVRFの臨床症状は咬合時痛、歯肉の腫脹などペリオあるいはエンド由来の病変と類似し、診断が難しく、放置すると歯根破折線に沿って細菌感染による炎症が持続し、歯周組織の破壊が引き起こされるという非常に危険な病態をとる。VRFに対し保存を試みた症例報告もあるが、限りなく抜歯へ近づくことに変わりはない。VRFの特徴としてTamseらは、1.幅の狭い孤立したポケットの存在(67.4%)、2.歯根を取り囲むようなエックス線透過像の出現(50%)、3.歯肉縁に近い部位に出現する瘻孔(34.8%)などを三兆候として挙げているが、どれも100%の確定診断材料にはならない。またVRFは上顎第二小臼歯、下顎大臼歯近心に多発したこと、被験歯92症例のVRFを、一般医はわずか1/3しか診断できなかったと報告している。