ニューロ・マトリックス
- 【読み】
- にゅーろ・まとりっくす
- 【英語】
- neuromatrix
- 【書籍】
- Quintessence DENTAL Implantology 2016年 No.6
- 【ページ】
- 26
キーワード解説
器質的異常が認められない慢性疼痛や、心理的要因と慢性疼痛の関連を説明するためにRonald Melzackが提唱、および後に修飾した用語。脳には痛みに関連する情報を統合して処理するニューロ・マトリックス(神経線維網)というべき機構があり、外界または身体各所からの入力要素は、感覚・認知・情動系のネットワークからなるこのニューロ・マトリックスの中で統合・処理される。その結果として、最終的に出力されたものが"神経サイン(neurosignature)"であり、痛みの知覚や疼痛行動を始めとする多次元にわたる疼痛体験を引き起こし、同時に個体のホメオスタシス(恒常性の維持)にも影響を与える。この仮説では、痛みは創傷部からの感覚入力によって直接引き起こされるのではなく、脳に広く張り巡らされた神経ネットワークで処理された結果、出力されて生じるものであるとして、侵害入力や組織損傷がなくとも痛みが生じる可能性があることが示されている。