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組織幹細胞

【読み】
そしきかんさいぼう
【英語】
multipotent stem cell
【書籍】
nico 2018年 4月号
【ページ】
39

キーワード解説

 ヒトの身体には、さまざまな細胞に分化する能力のある細胞が存在し、これを組織幹細胞という。組織幹細胞は、損傷・不足した細胞を補うために、自己を複製しつつ必要な細胞に変化する。多種多様な細胞で構成されている組織が健康に維持されるのは、組織幹細胞の働きによるところが大きい。
 現在、この細胞の働きを用いた再生医療が医学分野で脚光を浴びている。組織幹細胞は増殖する力と変化する力にすぐれ、かつ、患者自身から採取して培養できるため、感染や拒絶反応のおそれがない。また、がん化する可能性がきわめて低いため、安全性の評価が高い。
 組織幹細胞は抜去歯に豊富に含まれ、完成歯では歯髄や歯根膜に存在し、未完成歯では歯乳頭と歯小嚢から採取される。歯由来の組織幹細胞は、骨髄由来の組織幹細胞よりも増殖スピードが速く、そのポテンシャルがおおいに注目されている。