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根面う蝕

【読み】
こんめんうしょく
【英語】
root caries
【書籍】
根面う蝕の臨床戦略
【ページ】
4

キーワード解説

 根面う蝕は、歯肉退縮あるいはアタッチメントロスにより露出した歯根面に生じるプラーク中細菌の酸産生による歯質の脱灰病変である。大部分は、解剖学的に複雑な形状をし、細菌叢が堆積しやすいセメント-エナメル境から発症する。歯根部のセメント質や象牙質はコラーゲン主体の有機質を含み、根面う蝕の進行には無機質の酸脱灰に加えて、有機質のタンパク分解をともなう。根面う蝕の臨床的特徴は、小さな軟化した斑点状のものから歯根面を取り囲むものまであり、色も薄黄色、薄茶色、褐色、黒色までとさまざまである。とくに視診ではまったく気づかないが、歯周プローブでポケットを探ると、明らかに軟化した深いう窩を触知する場合もある。さらに、修復された根面については、修復前の状態がう蝕か酸蝕、摩耗、アブフラクションなどのトゥースウェアか、修復部位がセメント-エナメル境に多いため、原発が歯冠か根面かなど、非常に診断が困難な場合が多い。